Trema は日本語でもない英語でもない不思議な響きを持った言葉です。この名前、何か由来はあるのでしょうか?
Trema は元々 Bisco という名前で開発していました。開発メンバーの一人が開発中にお菓子のビスコをいつも食べていたからです。
訴えられるぞ!
さていよいよリリースも間近というころ、スタンフォード大学の関係者に Bisco を紹介しました。技術面での反応は上々だったものの、思わぬところでダメ出しをされてしまいました。「おもしろい名前だが、Cisco とよく似ていて誤解されかねないので絶対止めたほうがいい」。我々としてはお気に入りの名前だったのですが、万が一訴えられたらたまったものではありません。というわけでこの名前はあえなくお蔵入りになってしまいました。
命名
急遽代わりの名前を決めなければならず、急いで付けた名前が Trema です。これは、私が大好きな大阪のとれまレコードという小さいレコードレーベルの名前から取りました。リリースまで本当に時間が無かったので焦っていたところ、たまたま開いていた iTunes にとれまの曲が並んでいるのに目が止まったというわけです。ある意味、とても適当な決めかたです。
さて、そもそもこの “とれま” とはいったい何だ? という人も多いでしょう。これは日本がバブルの頃、道路の「とまれ」という標示がよく「とれま」と間違えて描かれていたという事実が元になっています。このありえない誤植の原因は、バブル景気時代に急増した外国人労働者が、日本語もままならないまま道路工事の現場に連れてこられていたことにあるそうです。由来を掘り下げると以外と面白い事実に行き着くことってありますね。
ロゴマーク
ちなみに、Trema の公式ロゴマークはこんな画像です。これは Twitter の Trema 公式アカウントのアイコンとしても使われています。
もちろん、こんなに大胆な道路標識は日本中どこを探してもありません。雑誌連載をしていたときの編集者が試しに画像編集ソフトで作ったところ評判が良かったので、そのまま公式ロゴになってしまいました。
というわけで、Trema の名前とロゴは実はすごく適当に決めてしまったものなのでした。でも続けると愛着が湧くもので、今では両方とも気に入っています。